仮想通貨大国は中国から日本になる?

2017年9月、中国の仮想通貨交換所が停止されることで、ビットコインが一気に値下がり、大きな影響があるのではと不安を抱いた方もいたかもしれません。
しかし、中国のトレーダーは移行しており、しかもGoogle検索も落ちていない事そうです。中国が停止することにより「長期的に安定する」と言うのです。これはどういうことでしょうか?根拠と共にお伝えしていきます。以下は今回の騒動が新聞に掲載されたものです。

  中国、仮想通貨取引の禁止を徹底 関連銘柄は動揺

2017/9/26 6:30  日本経済新聞 電子版
中国がビットコインなどの仮想通貨取引の徹底排除に乗り出した。当局は仮想通貨の発行による資金調達に続き、仮想通貨取引所の閉鎖を通知した。仮想通貨市場の急激な拡大が人民元安や資金洗浄などのリスクにつながるとみて、全面禁止に向けかじを切った。最近では大手取引所幹部の出国禁止や海外取引所のアクセスを制限する動きも伝わる。急激な取り締まりに為替や関連銘柄も揺れている。
 

中国はデジタルマネー先進国

 2017年6月20日に日本銀行が発表した調査レポート「モバイル決済の現状と課題」(http://www.boj.or.jp/research/brp/psr/psrb170620.htm/)では、日本のモバイル決済の利用率が6,0%なのに対し、中国は98.3%で、デジタルマネー先進国と言われています。アリババという日本でいう楽天のようなインターネット通販会社が「アリペイ」というモバイル決済を行っていて(「ウィーチャットペイ」という決済会社も有名)、インターネットでの決済はもちろんのこと、百貨店やコンビニ、個人商店、物乞いをするホームレスの人までも、QRコードを使いスマホでモバイル決済を利用しています。(詳しくは過去の記事をご覧下さいhttps://tdp1012.com/digital-money/bitcoin/ ‎)そして、禁止される前のビットコイン保有率も世界一。しかし、社会主義国の宿命か、鶴の一声で仮想通貨・ICO共に禁止されてしまいました。

 

なぜ中国で仮想通貨が沸騰していたのか?

今年(2017年)前半、中国はビットコイン取引量世界一と言われていました。しかも、ダントツで。取引量もさることながら、圧倒的にマイナー(マイニングをする人)が多かったのです。中国人民銀行が信用取引を中止し、一度は価格が下落することもありましたが、状況が落ち着くと速やかに投資家が戻ってきていました。

背景には、マイニングコストが圧倒的に安く(日本の7分の1の電気代)マイニングしやすかった。資本規制がある社会主義国内で国家の目をかいくぐって、海外に資産を移すことが簡単にできた。自国と自国通貨への不信感が根強い。などがあげられます。

 

どのような規制が行われたの?

中国政府、地方自治体、金融監督当局は、9月末までに中国ビットコインの取引所と取引プラットフォームにサービスを停止するよう正式に要請しました。今回の中国での規制をまとめると

1. 取引所は対人民元のみ禁止
2. 仮想通貨同士は可
3. 対面取引は人民元との交換も可

 

その結果何が起きたかというと、中国企業BitkanというOTC取引 (取引所外で売り手と買い手が現物を直接取引)の最大手がサービスを停止し、各種取引所が閉鎖されました。OKCoinとHuobi(中国の2大取引所 )は、過去のコイン・オファリング(ICO)に関与していなかったことを考慮して、10月30日まで運営する余裕を認められたそうです。

規制の結果、元で仮想通貨が買えなくなった中国の方々はどうしたかというと、ビットコイン市場を移行したそうです。

①取引所外取引

LocalBitcoinsという匿名でビットコインのOTC取引を行うことができる各国のウェブサイト(ヤフーオークションやメルカリのビットコイン専用バージョンのようなものです。)を利用たようです。
中国人が流れこんで利用したことによって出来高が3倍に膨れ上がりました。

②元→円orウォン→ビットコイン

「元→ビットコイン」ができなくなってしまったので、「元→円→ビットコイン」もしくは、「元→ウォン→ビットコイン」という流れができたようです。

中国のビットコイン全国交換禁止以前は、米国為替市場が一貫して世界最大の市場としての地位を確保していました。しかし、中国当局の発表後、トレーダーはビットコイン市場を「日本」に移行したことで、日本の取引量が短期間で急増し、世界のビットコイン為替市場シェアで米国市場を20%以上追い越すことができました。

ビットコインだけではなく、イーサリアムやライトコインも同様に上昇へ続きました。取引の総合計マーケットではトレーダーの移動と確定はできませんが、確実に動きがかわっていることはわかります。その影響で日本の仮想通貨取引所であるビットフライヤーはサーバーダウンしてしまい、ロスカットがおきるという事態が起きてしまいました。

Litecoin(ライトコイン)の創設者Charlie Lee氏は、「中国でビットコインを禁止することで、国内市場で取引をすることができなくなります。しかし、これがいいことだとし、仮想通貨(暗号通貨)は、どの国でも消されることはできない」と伝えています。仮想通貨取引所とユーザーの両方に対して、より良い規制や、業界の標準化といった安定化をもたらし、今の瞬間ではない「長期的」にみて、ビットコインにとって有益である可能性も述べています。

まとめ

一時的に値下がりを見せたビットコインですが、中国人トレーダーの移動に加え、大手のインターネットビジネスを中国が禁止しても世界的には影響なかったように仮想通貨も同じようにとらえ長い期間でみれば、仮想通貨には大きなダメージはないと判断され早々に値を戻しています。さらに怪我の功名といってよいのか、棚からぼた餅と言った方が良いのか、ビットコインを分裂させてまで利権を取りたかったと思われる中国のビットコイン取引高世界一の称号が日本に移ろうとしています。

 

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