仮想通貨の税金については多くの方が疑問に思うところですよね。
時代に法律が追いつかず、仮想通貨の税金は正式にきっ待ておらず、仮想通貨に関して得た利益はどのように課税されるのかイマイチ不透明でしたが、2017年の9月6日に国税庁が仮想通貨で得た利益を「雑所得」とすると発表しましたので、これを受けて仮想通貨の税金について、前回の記事の捕捉もしながら詳しくお伝えします。

前回の記事のまとめ
◯所得税がかかる。
◯ビットコインを使っても消費税はかかる。
◯個人の仮想通貨の利益に対する課税については「雑所得」に該当する(FXの売買利益と同じ)
◯法人の仮想通貨の利益に対する課税については「外貨取引と同じ」に該当する。
国税庁が仮想通貨で得た利益を「雑所得」と見解
http://www.itmedia.co.jp/news/articles/1709/06/news109.htm
これにより今まで不透明だった、仮想通貨の税金に対して、ある程度のルールが決まったことになります。
仮想通貨に関係する法律等について
円をはじめとする法定通貨とビットコインの性質の大きな違いは発行者がいるかいないかです。 少しずつ仮想通貨の立ち位置は変わってきているようです。過去にさかのぼって見てみましょう。
平成26年3月10日国会答弁書
日本の民法上の通貨とは国家が発行する強制通用力が担保されているものをいい、発行者のいないビットコインはこれに該当しないということが明記されています。また外為法に定める本邦通貨や外国通貨のいずれにも該当しないということも合わせて明記されています。
平成29年4月1日「資金決済に関する法律」
支払手段の1つとして「仮想通貨」が定められました。
物品を購入し、若しくは借り受け、又は役務の提供を受ける場合に、これらの代価の弁済のために不特定の者に対して使用することができ、かつ、不特定の者を相手方として購入及び売却を行うことができる財産的価値であって、電子情報処理組織を用いて移転することができるもの
と定義されており、「財産的価値」という言葉が使われています。従って仮想通貨の税法以外の法的な位置づけは通貨(お金)ではないけれども、財産的価値があるものとなりました。
2017年7月1日以降
仮想通貨取引にかかる消費税は非課税となりました。
2017年9月6日国税庁、仮想通貨で得た利益は「雑所得」
2017年の9月6日に国税庁が仮想通貨で得た利益を「雑所得」と定義しました。
以上税法以外の法律における仮想通貨の位置づけを確認しました。
では、仮想通貨で得た利益は所得税の課税対象となるのでしょうか?
仮想通貨で得た利益は課税対象となる?
日本の所得税法上は、「人の担税力(税金を納める能力)を増加させる利得は、その源泉、形式、合法性の有無にかかわらずすべて所得を構成する。」されています。例えば土地の譲渡をした場合、別に儲けるつもりで譲渡したわけでなくても、売却益が出たら所得税の課税対象となります。
上記と同様、ビットコイン取引をしたことによって得た利益はその理由(事業目的であろうが、投資目的であろうが、たまたまであろうが)が何であれ所得を構成し、課税対象となります。
仮想通貨の利益は課税対象
仮想通貨取引で得た利益は所得税の課税対象となります。所得区分は10種類設けられており、区分によって税率・税額の計算方法が異なります。国税庁のHPで「使用」という言葉が使われていますが、ビットコインの「使用」とは、様々な意味で使われることが想定されますので以下ケース別に課税関係を説明します。
①売買による利益
ビットコイン売買は雑所得となります。
個人の売買利益は雑所得
②マイニングしたビットコイン
ビットコインの発行や取引はP2Pネットワークで行われ、その承認には複雑なハッシュ計算が必要となります。
その承認作業を行って成功報酬としてビットコインを得ることをマイニングといいます。(マイニングについて詳細は過去の記事をみてね)
採掘には専用のPCやソフトウェアが必要となり、個人で行うには難しい状況ではありますが、マイニングプール等も生まれてきています。
個人でビットコインを採掘した場合には、そのビットコイン収入は事業所得の要件を満たせば事業所得、それ以外は雑所得となります。
マイニングしたビットコインも雑所得
③ビットコインで決済・他の仮想通貨と交換したことにより得た利益
店舗でビットコインを使って決済したり、他の仮想通貨と交換したケースです。
決済や交換に課税されるというのは少し分かりづらいかもしれません。
例えば、1BTC(ビットコインの単位。)=10,000円のときに1BTC買ったとしましょう。
この1BTCを使ってビックカメラで20,000円相当の家電を買ったとします。
家電を購入した時のビットコインのレートが1BTC=20,000円であったとすると、
10,000円の投資で20,000円の買い物ができたことになります。
このときビットコインの譲渡収入20,000円から取得費10,000円を控除した10,000円が課税対象となります。
ただ、現実的に執行面でこのケースは利益計算が複雑となり、把握が難しいのではないでしょうか。
原則論でいうと課税対象とはなりますが、今後通達などで簡易的な方法が整備されると思われます。
まとめ
現時点で考えられるビットコインに関わる所得税の取り扱いをまとめました。
正確に書くようにつとめましたが、申告する前に一度専門家に相談することをお勧めします