ビットコイン×日本円=ニホンコイン?国が発行する仮想通貨とは?

2017/9/8付日本経済新聞の一面に、 「デジタル通貨 中銀に待望論」という見出しが掲載されていました。 これはどういう事でしょうか?ビットコインの日本バージョンができるとしたら、すごいことですよね。

世界の中央銀行は今、法的な裏付けを持つデジタル通貨、いわゆる「国が発行する仮想通貨」の発行を検討し始めているそうです。でも、ビットコインは国が関与しない事が「売り」だったはずなのに、、、どういう事でしょうか?

そもそも仮想通貨とは?

仮想通貨の代表格、ビットコインはインターネットが世界に普及したことで誕生した、新時代の通貨革命だといわれています。 ビットコインの誕生は2008年なので、もう9年も前のことになります。その後アルトコインと呼ばれる数多くの仮想通貨が生まれ、今では2000種類ほどあります。

仮想通貨は、 日本円や米ドルなど、中央銀行が発行・参加して国が保証するのではなく、制度全体に対する市場参加者の評価(信任)で成り立っていて、ビットコインは国境という既成概念すら破り、今後さらに大きな経済活動を実現する可能性を秘めています。

なぜ中央銀行が仮想通貨を発行するの?

国が関わらないのが仮想通貨だったはずなのに、 世界中の中央銀行が発行を検討する動きをみせるということは、 おかしい気がしますよね? 仮想通貨の基軸通貨であるビットコインが存在する中、なぜ中央銀行が独自仮想通貨の発行を検討しているのでしょうか?
背景にはビットコインが驚異的な速さで普及して、 仮想通貨の実用性が証明されつつあることにあります。この驚くべき普及率に国が危機感を感じて対策を練り始めているという事わけです。 従来、中央銀行は金融政策を通じて物価を安定させたり、お金の量をコントロールし、景気の調節をしていましたが、 国が関与しない仮想通貨が広く使われるようになれば、中央銀行の必要はなくなってしまうということになります。中央銀行が自ら仮想通貨を発行すれば、紙のコストゆえに銀行券が仮想通貨に凌駕される事態を避けることができます。つまり、仮想通貨の広まりが無視できなくなって防衛的な理由で国が仮想通貨を発行するということですね。

デジタル通貨とは?

国が関与しない仮想通貨が広まったら、お金のコントロールができなくなり、国の威厳もなくなり、国の崩壊に繋がる、、、ならば、作ってしまおう!とのシナリオを考えて、生まれる中央銀行が発行する仮想通貨は、国の後ろ盾があるため仮想通貨といった呼び方ではなく「デジタル通貨」と呼ぶそうです。

デジタル通貨の強みとは?

今年11月に日銀が発表したレポートによると・・・
①ユーザー利便性の向上
シンガポールでは、紙ベースの決済手段(現金や小切手)の利用に伴うコストがGDPの0.52%に達すること、北欧を中心にキャッシュレス化が進んでおり、銀行券の発行・管理に伴うコストを削減しようとする動きが活発化していること、などを紹介しています。

②金融政策の有効性確保
ビットコイン等の仮想通貨のプレゼンスが中央銀行発行通貨(ソブリン通貨)を凌駕するまでに拡大し、これがそのまま財やサービスの取引に用いられるようになれば、金融政策の有効性低下は避けられない。
この点、中央銀行が自らデジタル通貨を発行すれば、紙のコスト故に銀行券が仮想通貨に凌駕されるといった事態を避けることができるとの主張しています。

中央銀行の発行するデジタル通貨が紙の銀行券を代替していけば、デジタル通貨の残高を操作することにより、「名目金利のゼロ制約」を乗り越えやすくなる可能性も論じられています。

③通貨発行益(シニョレッジ)
中央銀行が自らデジタル通貨を発行すれば、仮想通貨との競争を受けたシェア低下による通貨発行益(シニョレッジ)減少を防ぐことができるとの議論があります。

中央銀行が仮想通貨を発行するデメリットは?

現在は、中央銀行に口座を作成できるのは銀行だけですが、そのような制約がなくなります。
→個人や企業が中央銀行に口座を作成できるようになる。
→人々が便利さから商業銀行から中央銀行に預金を移す。
→商業銀行から預金が失われる。
→貸付が減少する。
結果、銀行は信用創造ができなくなる。このように、中央銀行がデジタル通貨を発行することで、国に「すべての取引が監視」される可能性もあります。各国で、ブロックチェーンや独自仮想通貨の利便性に大きな期待が寄せられる中、やはり検討課題も多く残されているようです。

日銀が独自仮想通貨を発行する可能性は?

日本銀行が現時点で、銀行券に代わり得るデジタル通貨を発行するといった具体的な計画を持っている訳ではありません。「ブロックチェーンや分散型元帳など新しい技術の理解に努めるとともに、そうした技術を中央銀行の業務の中で活用し、自らのインフラを向上させていく余地がないかも含め、調査研究を続けていく必要があると考えています」と日銀副総裁がと述べているとおり、まだ具体化しているわけではありません。

しかし、中央銀行の発行ではないものの、みずほ銀行、ゆうちょ、地方が合同で主導する「Jコイン(仮称)」の発表がありましたので、日本国内においても「第二の円」となる暗号通貨、デジタル通貨の誕生が着々と構想され始めているのだと思われます。

各国の動き

①イングランド
イングランド銀行は仮想通貨が今のように広まる前の 2016 年 2 月、ロンドン大学の研究者がイングランド銀行スタッフとの議論を経て、仮想通貨市場に飲み込まれないよう、早急に中央銀行発行デジタル通貨である「RSCoin」 というデジタル通貨を発行すべきだという旨の研究論文を公表し、仮想通貨市場拡大による自国の金融破綻を未然に防ぎ尚且つ、経済発展にも繋がると訴えていました。
②シンガポール
シンガポールでは今現金や小切手といった紙ベースの決済手段の利用に伴うコストはGDPの0.52%に達すると試算されていて、現金から電子的な決済手段への移行を後押しする取り組みが進められているとのことです。
また、シンガポールの中央銀行がブロックチェーンの技術開発についてインド、韓国と提携し、さらには、日米欧の金融大手とシンガポールの中央銀行が、年内にも仮想通貨技術を使った資金取引システムの実証実験を始めたそうです。③デンマーク
デンマークは銀行券や硬貨の製造を2016年から外注化し電子管理を始めていて、その結果、2020年までには約20億円のコスト節約につながると試算されいます。

④エストニア
国家初のICOとなる独自のデジタル通貨
「エストコイン」を発行する計画が明らかになりました。

⑤スウェーデン
Swishと呼ばれる決済アプリが国民の間で流行っていて、商業銀行の間では、現金関連サービスの縮小や店舗の統廃合が進められている。2018年末には「eクローナ」というデジタル通貨の発行可否を発表するとのことです。

スウェーデンのリスクバンク(スウェーデン国立銀行)は、1660年代に世界で最初の紙幣を発行した中央銀行で、同行は、デジタル通貨について検討するプロジェクトを立ち上げたと、フィナンシャルタイムズが報じています。
スウェーデン中銀の総裁代理のCecilia Skingsley氏は「これは300年前に紙幣が発行されたのと同じくらい革命的なことです。金融政策や財政の安定にどのような影響を及ぼすのでしょうか、チャージ可能なカード、アプリ、その他の方法がありますが、どのようなデザインがよいのか」と今後検証すべきことがたくさんあることを語っています。

⑥ロシア
プーチン大統領がイーサリアムを生んだ
ヴィタリック・ブテリン氏に会い、支持を表明したことは有名で、ロシア中央銀行は、イーサリアムの技術を活用したシステム開発を行うと表明しています。

今ではロシア初の法定デジタル通貨発行への研究が進められているということはもちろん今後の暗号通貨市場はロシアが牛耳るのでは、という意見も飛び交っているほどです。

また、ロシア銀行は 2016 年 10 月、市場参加者と連携し、「Masterchain」という DLT を用いた金融情報伝達ツールの試作品を開発したと公表しています。
※DLT(Distributed Ledger Technology)とはフィンテックの代表的な技術とされるブロックチェーン・分散型元帳技術

ロシアの証券保管振替機関がベンチャー企業と組んでブロックチェーンを介した両替や送金のテストを行っているようだとの情報もあります。

⑦オランダ
オランダの中央銀行がブロックチェーンを用いた暗号通貨のプロトタイプであるDNBCoinの開発に取り組んでいると報道されていて、ビットコインのソフトウェアを中央銀行が自ら試してみることにより、ブロックチェーンの機能についてより深く理解できるとしています。

⑧カナダ
カナダ中央銀行はデジタル通貨CAD-CoinをR3協力のもと開発中であると発表していて、政府が保証する法定通貨をブロックチェーンに取り込む方法を研究しています。

⑨香港
香港の通貨当局で、実質香港の中央銀行に相当する香港金融管理局が、ブロックチェーンと分散型台帳技術の実証実験を行うためのイノベーション・ハブをローンチする予定であることを発表しています。

⑩タイ
タイの主要な銀行の一つで、第4位の資産を保有するKasikornbank Pcl.がIBMと合意を結び、Linux Foundation主導のHyperledgerを用いたブロックチェーンサービスの開発を行うと発表しています。またタイの中央銀行(BOT)は今フィンテックを促進しており、企業が革新的な製品、サービス、ビジネスモデルおよびデリバリーをテストすることのできる新しい実験環境を立ち上げているそうです。

⑪南アフリカ
南アフリカの中央銀行は2014年12月に仮想通貨に関する方針説明書(Position Paper)を発表し、当時は中立的な様子で利用者は自己責任でリスクに注意するよう促していたが、2年弱経過し世界の中央銀行や金融機関がブロックチェーンについて注目する中で、少し前向きな姿勢に変わったようです。

南アフリカの中央銀行のLesetja Kganyago総裁は2016年8月23日にヨハネスブルグで行われたサイバーセキュリティ・カンファレンスでSARBはイノベーションにはオープンであると述べ、仮想通貨に言及しています。

また、南アフリカの銀行グループが、同国の主要な規制当局と協力してブロックチェーンのアプリケーションをテストする計画を進めているそうです。

まとめ

現在、暗号通貨市場の時価総額は約20兆円ほどですが、ゆくゆく3,000兆円から4,000兆円ほどに膨れ上がると予想されております。

今は暗号通貨バブルのスタートの「ス」の時期であり急激に拡大していく模様です。世界各国のデジタル通貨発行計画はそのようなバブルの予測を確信させる大きな動きだと言えますね。

日本では仮想通貨を怪しいものと認識されている方は多いと思いますが、便利さと世界的な動きを知れば仮想通貨のイメージも変わるのではないでしょうか。
仮想通貨の投資を検討する際にこの記事が役に立ったら幸いです。